マクロ経済学の教科書を読んで途方に暮れた January 6, 2006
年末からマクロ経済学の教科書を読んでたのだが読み終わって考え込んでしまった。有斐閣アルマというシリーズで大学教養過程レベルのカタログ的なヤツなのだが、なんじゃこりゃという感じ。以下のような構成になっている。
○○という領域は××モデルで説明される。××モデルとは云々。ただし近年、××モデルでは現実の経済の動きをうまく説明できないことが指摘されている。
一事が万事この調子で、要するに現実の動きをうまく説明できない理論をくだくだと勉強しましたという話になる。 一番ひどいと感じたのが経済成長理論の分野で「経済成長を生み出す因子が何かある。それはおそらく技術進歩か何か」という仮説のもとに話が始まったくせに、その因子とは「経済成長の結果から資本と労働の貢献を引いた残り」という結論になっている。話をひっくり返して「ソローの残差」なんて名前つけて解決ってのは詐欺みたいなもんだ。「経済成長は何で起こるのか分かりません」と白旗を挙げてるに等しい。
これだけに限らず、マクロ経済学には期間限定の理論が多過ぎる。社会の仕組が変わると全然違う考え方をしないと説明がつかなくなる。この結果、以下のような困った事態が起こると思う。
- 新しく生じた経済現象を説明することができない
- 本当に現在の状況に合った適切な説明になっているのか分からない
- まして今後どうなるかは全く予測できない
これでは何のために勉強しているのかさっぱり分からない。直観的には、歴史を重ねるごとに経済に影響を与える因子が飛躍的に多くなってきているため、数式でシンプル化して扱える範囲を超えてしまっているような気がする。複雑系になったから長期的な結果は予測できないと考えた方が良さそうだ。少なくとも部分的な判断で何かを理解した気になると痛い目に合うだろう。
ある意味で投資のテクニカル派からみたファンダメンタル派への批判とかぶるのかもしれないが、個人的にはテクニカル分析も何かの説明にはならないと思っている。短期投資としては高確率事象を抽出できればある程度足りるのだろうが、たとえば一生スパンで行動を考えるための指針にはならない。 テクニカルに偏ると大当たりも小当たりも区別できずに全部手を出す結果になりかねないと思っているので、何らかのファンダメンタル的な見方は身に付けたい。
マクロ経済を一通り読んで、いま考えるべきは国際経済の流れだと思っている。…そう思って国際経済学の本を物色してみたのだが、ここでまた途方に暮れる。 結局、ぐちゃぐちゃなのだ。まず国によって制度も違うのに、サヤ取りの人がいたりして総体としては影響し合っている。 教科書を見ても、LTCMのような投機ファンドの話やロシアのユーロダラーみたいな話が平気で出てくる。結論としては「おおどころの金の動きは個別にできるだけ全部知っておけ」というところに行き着く。いまや経済学という分野は死んでいて、全部政治と商売の話に帰って来る気がする。
国際政治の事情通になることが長期的な資産形成に重要な意味を持つようになったということだと思う。青木雄二風に言えば「外為で小銭儲けして有頂天になっとる素人は、いずれ何倍もの下手を打つことになりまっせ」ということか。
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